今、祖父吉蔵が愛用していた懐中時計を手にしている。
時計は主を失えば鼓動を止める。
しかし、新たな主を得れば、再び時を刻み出す。
福井さんのおかげで、40年ぶりに再び動き始めた。
Made in USAと文字盤に書いてあるが、メーカー名がなく、ムーブメントにも刻印がない。
吉蔵の弟、好司は時計メーカーの主だったが、吉蔵自身は時計愛好家ではなかった。
ただ、この時計だけは気に入って大切に使っていたようだ。
時計は、継承されることで、主の歴史を刻んでいくように感じる。
祖父との思い出は全くないが、このマスターピースに触れることで、彼の笑顔を感じ取ることができる。
大事にしたい数少ない祖父の遺愛品だ。

【2012.07.13 専務】
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